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シリア軍事介入に関し、政府へ要請書を提出しました。

 2013年8月30日午後、自衛隊イラク派兵差止訴訟名古屋弁護団、元・自衛隊イラク派兵差止訴訟の会有志として、「シリア軍事介入を止めさせ、憲法にもとづいた非軍事平和外交を」と題する緊急要請書を安倍晋三内閣総理大臣、岸田文雄外務大臣、小野寺五典防衛大臣宛てに執行しました。

 以下、要請書の文面を転載します。

 オバマ米政権は、8月21日に起きたとされる大規模な化学兵器攻撃をアサド政権の行為だと明言し、国連安保理決議を得なくても軍事介入に踏み切る姿勢を鮮明にしました。同盟国(英国、フランス)と連携して、洋上から巡航ミサイル攻撃を中心に数日間の軍事攻撃という懲罰を目的とした限定的軍事行動に踏み切る可能性を示唆しています(8月28日、米PBSテレビ・インタビュー)。

 日本は、近年、2001年10月からの米国の対テロ戦争(アフガニスタンへの軍事攻撃)や2003年3月からのイラク戦争など、米国が過去に繰り返してきた武力行使に対して同盟国としての支持と理解を表明してきています。

 イラク戦争では、日本政府は何ら検証・検討することなく、ブッシュ米大統領の最後通告演説のわずか3時間後に小泉首相は支持を表明しました。その後数ヵ月経って、イラク戦争開戦の根拠として挙げた「大量兵器の存在」および「フセイン政権とアルカイダの関係」という二つの“正当性”がいずれも虚偽の情報に基づくものであったことは周知のとおりです。 

 そして、アフガニスタンとイラクへの武力行使は、いずれも数多くの民間人の犠牲と破壊と混乱をもたらし、国内避難民と国外への避難民を増加させ、新たな憎悪と更なる対立・紛争へ繋がっている事実を重く受け止めなければいけません。
 

 化学兵器の使用は非人道的行為であり、決して許されるものではありません。
 化学兵器の使用をシリア政府が行ったとすれば、国際的に厳しく非難されるべきことは明らかです。

 しかし、化学兵器使用を止めさせる、という名目で武力行使を行えば、シリアはイラク戦争の二の舞になってしまいかねません。
 国際紛争を解決する手段として武力に訴えることを明確に禁じ、永久に放棄した平和憲法を持つ国として為すべき役割と責任は、米国の軍事介入/武力行使を支持・支援することでは決してありません。

 平和憲法を持つ国の首相として、憲法にもとづく非軍事平和外交に徹することです。
 これ以外に暴力の連鎖、民間人の犠牲を生み出す連鎖、新たな敵意と憎悪を生み出す連鎖を断ち切ることはできません。

 よって私たち「自衛隊イラク派兵差止訴訟」に取り組んだ元原告有志と名古屋弁護団として、日本政府に対し、以下のことを要請します。

1.オバマ米大統領・キャメロン英首相・オランド仏大統領に対し、シリアへの軍事介入を止めさせること

2.8月31日にシリアを出国する国連調査団の報告を受け、調査継続が必要であれば第二次、第三次調査団を派遣し、事実調査を徹底して行うよう提唱すること

3.正確な事実調査内容に基づき、国連を中心として「非軍事」による問題解決策を講じるよう提唱し、積極的役割を担うこと

4.隣国レバノン、ヨルダンならびにイラクへ逃れている多くのシリア市民への緊急人道支援を速やかに講ずること

以上
by kahajime | 2013-08-30 22:43 | イラク