カテゴリ:イラク( 14 )

2月4日のインディペンデントで公開された映像です。シリア第三の都市、ホムスの現状をドローンで撮影したものです。

多数の難民が出ているシリアの現状を少し理解できると思います。一度、ご覧ください。
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by kahajime | 2016-02-21 15:53 | イラク
08年4月17日の名古屋高裁イラク派兵違憲判決の判決文を抜粋しました。ご活用下さい。

■イラク各地における多国籍軍の軍事行動 ~ファルージャ
 イラク中部のファルージャでは,平成16年3月,アメリカ軍雇用の民間人4人が武装勢力に惨殺されたことから,同年4月5日,武装勢力掃討の名の下に,アメリカ軍による攻撃が開始され,同年6月以降は,間断なく空爆が行われるようになった。
 同年11月8日からは,ファルージャにおいて,アメリカ軍兵士4000人以上が投入され,クラスター爆弾並びに国際的に使用が禁止されているナパーム弾,マスタードガス及び神経ガス等の化学兵器を使用して,大規模な掃討作戦が実施された。残虐兵器といわれる白リン弾が使用されたともいわれる。これにより,ファルージャ市民の多くは,市外へ避難することを余儀なくされ,生活の基盤となるインフラ設備・住宅は破壊され,多くの民間人が死傷し,イラク暫定政府の発表によれば,死亡者数は少なく見積もって2080人であった。

■首都バグダッド
 アメリカ軍を中心とする多国籍軍は,時にイラク軍等と連携しつつ掃討作戦を行い,特に平成19年に入ってから,バグダッド及びその周辺において,たびたび激しい空爆を行い,同年中にイラクで実施した空爆は,合計1447回に上り,これは前年の平成18年の約6倍の回数となるものであった。

■多数の被害者
 世界保健機構(WHO)は,平成18年11月9日,イラク戦争開始以来,イラク国内において戦闘等によって死亡したイラク人の数が15万1000人に上ること,最大では22万3000人に及ぶ可能性もあることを発表し,平成18年10月12日発行の英国の臨床医学誌ランセットは,横断的集落抽出調査の結果を基にして,イラク戦争開始後から平成18年6月までの間のイラクにおける死者が65万人を超える旨の考察を発表している。
 また,イラクの人口の約7分の1にあたる約400万人が家を追われ,シリアには150万人ないし200万人,ヨルダンには50万人ないし75万人が難民として流れ,イラク国内の避難民は200万人以上になるといわれている。

■航空自衛隊の空輸活動
 航空自衛隊のイラク派遣当初は,首都バグダッドは安全が確保されていないとの理由で,バグダッドへは物資人員の輸送は行われていなかったが,陸上自衛隊のサマワ撤退を機に,アメリカからの強い要請により,航空自衛隊がバグダッドへの空輸活動を行うことになり,平成18年7月31日,航空自衛隊のC-130H輸送機が,クウェートのアリ・アルサレム空港からバグダッド空港への輸送を開始した。以後,バグダッドへ2回,うち1回は更に北部のアルビルまで,タリルへは2回,それぞれ往復して輸送活動をするようになり,その後,週4回から5回,定期的にアリ・アルサレム空港からバグダッド空港への輸送活動を行っている。
 平成18年7月から平成19年3月までの輸送回数は150回,輸送物資の総量は46.5トンであり,そのうち国連関連の輸送支援として行ったのは,輸送回数が25回で,延べ706人の人員及び2.3トンの事務所維持関連用品等の物資を輸送しており(平成19年4月24日衆議院本会議における安倍首相の答弁),それ以外の大多数は,武装した多国籍軍(主にアメリカ軍)の兵員であると認められる。

■憲法9条1項違反
 (航空自衛隊は)多国籍軍の戦闘行為にとって必要不可欠な軍事上の後方支援を行っているものといえる。したがって,このような航空自衛隊の空輸活動のうち,少なくとも多国籍軍の武装兵員をバグダッドへ空輸するものについては,前期平成9年2月13日の大森内閣法制局長官の答弁に照らし,他国による武力行使と一体化した行動であって,自らも武力行使を行ったと評価を受けざるを得ない行動であるということができる。
よって,現在イラクにおいて行われている航空自衛隊の空輸活動は,政府と同じ憲法解釈に立ち,イラク特措法を合憲とした場合であっても,武力行使を禁止したイラク特措法2条2項,活動地域を非戦闘地域に限定した同条3項に違反し,かつ,憲法9条1項に違反する活動を含んでいることが認められる。

■平和的生存権について
 平和的生存権は,現代において憲法の保障する基本的人権が平和の基盤なしには存立し得ないことからして,全ての基本的人権の基礎にあって,その享有を可能ならしめる基底的権利である。
 例えば,憲法9条に違反する国の行為,すなわち戦争の遂行,武力の行使等や,戦争の準備行為等によって,個人の生命,自由が侵害されまたは侵害の危機にさらされ,あるいは,現実的な戦争等による被害や恐怖にさらされるような場合,また,憲法9条に違反する戦争の遂行等への加担・協力を強制されるような場合には,平和的生存権の主として自由権的な態様の表れとして,裁判所に対し当該違憲行為の差止請求や損害賠償請求等の方法により救済を求めることができる場合があると解することができ,その限りでは平和的生存権の具体的権利性がある。

■控訴人らの請求について
 関係各証拠によれば,控訴人らは,それぞれ重い人生や経験に裏打ちされた強い平和への信念や信条を有しているものであり,憲法9条違反を含む本件派遣によって強い精神的苦痛を被ったとして,本件損害賠償請求を提起しているものと認められ,そこに込められた切実な思いには,平和憲法下の日本国民として共感すべき部分が多く含まれているということができ,決して,間接民主制下における政治的敗者の個人的な憤慨,不快感又は挫折感等にすぎないなどと評価されるべきものではない。

 
 
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by kahajime | 2015-06-24 00:16 | イラク
名古屋高裁で違憲判決を勝ち取ったイラク訴訟弁護団として、 6月11日、下記の声明を出し、記者会見を行いました。
                                             
憲法違反の「安保法案」の即時撤回・廃案を求める
名古屋高裁イラク派兵違憲判決・弁護団声明


 1.政府は、集団的自衛権の行使の実態を国民に隠している

 安倍政権が解釈によって行使を解禁する「集団的自衛権」とは、「自国への攻撃がなされていないのに他国に武力行使をする」、つまり「自国防衛と無関係の戦争に参戦する」ということに他ならない。その際、想定されるのはかつての「国対国」の戦争ではなく、非対称の戦争、いわゆる「テロとの戦い」である。自衛隊が「テロとの戦い」に参戦するというのはどういうことなのか、その実態を直視する必要がある。  

 2003年3月に米国主導で始められたイラク戦争も「テロとの戦い」であった。イラクに対し、日本政府は「人道復興支援」名目にて自衛隊をが派遣したが、2008年4月17日、名古屋高等裁判所が航空自衛隊の輸送活動について、「米軍の武力行使と一体化しており、憲法9条1項に違反する」との違憲判決を下した。
 
 名古屋高裁違憲判決は、「テロとの戦い」と称される現代の戦争の実態をとても端的にわかりやすく指摘している。同判決は、イラクでは「テロリスト掃討」名目の掃討作戦においてクラスター爆弾やナパーム弾などの大量殺戮兵器が使用されたこと、イラク戦争開始後のイラクにおける死者が65万人に及ぶとの統計もあることを認定した。「テロとの戦い」の実態が市民に対する大量虐殺である、という事実を端的に示している。同時に、同判決は、イラク戦争において多数の米兵も命を落としている実態も認定している。
 
 現在、国会では、安倍首相が提示する、およそフィクションとしか言いようがない事例を前提にした「議論」が続けられている。自衛隊がどのような戦争に参戦していくかについて、リアリティーのある議論がなされていない。

 集団的自衛権を認めることによって、自衛隊は市民に対する大量虐殺を担うことになる。これが、現代の戦争、いわゆる「テロとの戦い」の実態である。この実態を覆い隠しながら、国家の根幹に関わる、国民の命にも関わる問題を強行しようとしている安倍政権の姿勢は、民主主義国家としてあるまじき態度であるとして、厳しく批判せざるを得ない。
 
 2.安保法案は「他国の武力行使との一体化」は明らかであり憲法違反である

 安保法案では、自衛隊の活動地域について、地理的限定をなくした上で、さらに、自衛隊の活動地域について、武力行使一体化をさせないための枠組みであった「非戦闘地域」の概念を否定し、「現に戦闘行為を行っている現場」以外での活動を可能とする。 さらに、弾薬・燃料等の軍事物資を米軍及び他国軍隊に補給することも可能とする。

 しかし、名古屋高裁違憲判決は、イラクで活動を行った航空自衛隊の輸送活動について、憲法違反であると判断した。その理由は、イラク特措法に従えば自衛隊の活動地域は「非戦闘地域」に限られるところ、航空自衛隊の輸送先であるバグダッドは非戦闘地域とは認められないこと、輸送物が武装した米兵であったこと、から政府見解(大森4要件)に照らし、他国による武力行使と一体化した行動と言わざるを得ないとして、憲法9条1項違反と断じたのである。

 このような名古屋高裁違憲判決の理屈に従えば、安保法案が非戦闘地域の概念を否定し、「現に」戦闘をしていない「現場」以外、すなわち戦争の最前線においても活動することを否定しない時点において、他国の武力行使との一体化を想定しているものと評価せざるを得ない。 

 また、名古屋高裁違憲判決においては、「現代戦において輸送等の補給活動もまた戦闘行為の重要な要素であるといえること」を大前提として違憲判断が行われた。安保法案が想定する、米国に対する弾薬の輸送などの軍事物資補給は、武装した兵員輸送より一層明確な戦闘行為と評価される。この点においても、安保法案の想定は、他国の武力行使と一体化するものと判断せざるを得ない。

 以上のように、名古屋高裁違憲判決に照らし、安保法案は、他国の武力行使と一体化する内容を含むものであり、憲法9条1項に違反するものである。

 武力行使一体化の歯止めをなくしてしまえば、当然、自衛隊が戦闘行為に巻き込まれる危険は飛躍的に増大する。「テロとの戦い」の現場で、他国の国民を殺し、また殺される事態に直面することは必至である。ひとたび、戦闘行為に参加していると評価される事態に至れば、報復を受けることは避けられない。自衛隊が戦闘行為の当事者になるのは時間の問題となる。

 かかる深刻な事態について、安倍政権はまったく国民に伝えていない。「抑止力が高まって戦争がなくなる」などと喧伝しているが、戦争の実態を無視する「虚偽広告」であって、到底認められるものではない。 
 
 3.戦争は国民を騙すところから始まる

 イラク訴訟において、イラクにおける航空自衛隊の輸送活動の実績について、情報開示を求めたところ、当初、黒塗りの「開示文書」ばかりが提出されてきた。
 しかし、自衛隊のイラク撤退後、民主党政権への政権交代直後の2009年9月、防衛省は自衛隊のイラクでの空輸活動の実績を全て開示した。 この文書により、連日多数の米兵など多国籍軍兵員の輸送をしたこと、その結果、合計2万人以上の多国籍軍兵員を輸送した実績が明らかとなった。

 これに対して、「貨物」において、人道物資と思われるものとしては、2004年はじめに航空自衛隊が最初に輸送をした時の「医療器機」以外、一つもなかった。
 国民向けには、「自衛隊はイラクで人道復興支援をしている」と装いながら、人道支援はしていなかった。実際には武装した米軍を掃討作戦の最前線であるバグダッドまで輸送する、という米国の武力行使と一体化する軍事活動を行ってきたのである。
 自衛隊のイラク派兵において、自衛隊の活動内容を「人道支援」だと国民を騙しながら、実際には米軍の戦争を支える軍事活動を行っていた(第一次安倍内閣の時期も含む)のが事実である。現在、安倍政権は、「戦争をする国にはならない」「安保法案は憲法上合憲だ」などと喧伝しているがまったく信用できない。

 4.安保法案は即時撤回・廃案を

 自衛隊イラク派兵差し止め訴訟について、名古屋高裁での審理が始まった2006年夏は、航空自衛隊によるバグダッドへの輸送活動が開始された時期であると同時に、第一次安倍政権が発足した時期とも重なる。

 安倍政権は、国会での議論を軽視し、自身が正しいと考える政策を次々断行した。この安倍政権の姿勢に対し、当時、「国会が機能していない」「議会制民主主義が軽視されている」などと厳しく批判されていた。原告・弁護団は、法廷で、「国会が機能していないときだからこそ、憲法を守るためには裁判所が正しく判断する他ないではないか。司法が今、政府の過ちを正す時だ」などと裁判官に厳しく迫り続けた。

 その結果、言い渡された名古屋高裁違憲判決は、第一次安倍政権下、議会制民主主義が機能していない中で審理を行った結果、言い渡されたものである(※判決言い渡し時は福田政権であった)。言い換えれば、民主的な議論を行わず、法の支配を自らの考えでねじ曲げようとした安倍首相が、違憲判決の産みの親とも言い得る。

 現在の安倍政権下でも、同様に民主的な議論の軽視、及び、法の支配の軽視がされている。国会における、安倍首相はじめとする閣僚の答弁はごまかしの答弁ばかりであり、まともな審議がされているとは到底評価され得ない。加えて、対米公約を優先していることから、国会での審議を軽視していることは自明である。第一次安倍政権のとき以上に議会制民主主義が機能せず、立憲主義・法の支配が蔑ろにされていることは明らかである。

 私たちは、まさに、憲法9条に違反する国の行為を日々目撃している。安保法案が万が一にも成立した場合には、平和的生存権侵害に対する訴訟が多数申し立てられることになろう。その際、裁判所は先例である名古屋高裁違憲判決にしたがって憲法9条違反を判断することも十分あり得る。

 しかしながら、具体的な審理をまつまでもなく、名古屋高裁違憲判決の論理上、現在政府が提出している安保法案の違憲性は、以上のとおり明白である。

 私たち、イラク派兵差止訴訟弁護団は、憲法違反であることが明らかである安保法案の即時の撤回・廃案を政府に対して強く求める。
 
 
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by kahajime | 2015-06-20 23:43 | イラク
企画のお知らせです。

■11月24日18時半から名古屋第一法律事務所にて、です。

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『イラク戦争、集団的自衛権行使を問う』 名古屋集会
  ~イラク戦争 ファルージャ総攻撃から10年
  ~イラク・ファルージャ総攻撃に参加した元米海兵隊員名古屋で語る

 秘密保護法制の施行を急ぎ、憲法解釈を変更して集団的自衛権行使を容認し、沖縄・辺野古へ新米軍基地を建設しようとする安倍政権。「戦争しない国」から、米国とともに「戦争する国」へと変えようとしています。多くの人たちが、日本国平和憲法の理念を踏みにじる危険な流れに危機感を抱き、若い世代の間では、将来、自分たちが戦争に巻き込まれるのではないかという不安が広がっています。

 この度、「イラク戦争の検証を求めるネットワーク」は、2004年11月の2回目のファルージャ総攻撃に参加した米軍による虐殺の経験から、帰国後罪悪感に苛まれ反戦活動家となったロス・カプーティさんを招聘しました。名古屋でも、下記の通り集会を開催します。

 安倍政権が「戦争できる国」づくりを進める中、深い懺悔から軍服を燃やしたというロスさんから、イラク戦争の現実、ファルージャでの経験、戦争被害の実状、そして今の思いを語ってもらいます。合わせて、イラクの現状を高遠菜穂子さんに報告して頂く予定です。ご参加ください。

        記

【日時】 2014年11月24日(月)18:30~20:30(21:00まで延長可能)

【場所】 名古屋第一法律事務所 3階会議室
    (名古屋市中区丸の内2-18-22 三博ビル)
    (地下鉄桜通線『丸の内』駅エレベーター出口すぐ)

【内容】
1) 講演「イラク・ファルージャ総攻撃に参加した体験から」
    講演者:ロス・カプーティさん(元米軍海兵隊員)
         「ファルージャの正義プロジェクト」設立者
         イラク戦争犠牲者への「償いプロジェクト」共同設立者
2) イラク現状報告
   報告者:高遠菜穂子さん(イラク支援ボランティア)
3) 懇談

【参加費】1,000円(学生無料)
    *お手数ですが、準備の都合上、参加希望の方は事前に連絡ください。
    <参加連絡先>
    → 名古屋第一法律事務所 弁護士川口創
      21日までにお電話(052-211-2236)にて、氏名と連絡先をお知らせください。
   
【備考】①逐次通訳(日/英)あり
    ②本集会は、「イラク戦争の検証を求めるネットワーク」と「自衛隊イラク派兵差止訴訟・名古屋弁護団」有志/「自衛隊イラク派兵差止訴訟・元原告有志」による共催です。

<ロス・カプーティさんプロフィール>
2004年11月の2回目のファルージャ総攻撃に海兵隊員として参加。そこでの経験がロスさんを反戦活動家に転換させた。罪悪感に苛まれ、軍服を燃やしたロスさんは、「ファルージャの正義プロジェクト」を設立。言語学者/社会哲学者のノーム・チョムスキー教授など米国の著名な反戦活動家も参加し、米国の戦争犯罪犠牲者との連帯を促進し、米国によるすべての戦争と占領を終結させるための活動をしている。また、イラク戦争犠牲者への「償いプロジェクト」の共同設立者となり、難民・国内避難民支援や医療支援だけでなく、和解、平和構築などにも取り組んでいる。

以上
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by kahajime | 2014-11-11 17:15 | イラク
7月1日、安倍内閣は集団的自衛権行使を認める閣議決定をしました。

閣議の内容は、とても従来の政府見解と整合性があるものではなく、論理的にも破綻しています。

閣議決定の内容が憲法の「枠」を踏み越えていることは間違いなく、憲法違反の内容ですから、この閣議決定に依拠して作られていく今後の法律は、すべて違憲の推定が働くことになります。違憲の法律に基づいて行われる行為も違憲の推定が働きます。

ですので、いずれ、いつかの段階で、違憲訴訟が全国各地で起こっていくことでしょう。

この際、2008年4月17日に名古屋高裁で示された、「航空自衛隊のイラクでの活動が憲法9条1項に違反する」という違憲判決は参考になると思います。日本の裁判のシステムの限界から、結論としては敗訴していますが、「規範部分」、特に平和的生存権の要件論は、参考になるのではないかと思います。

もともと、違憲判決自体がほとんど出されない日本の司法の中で、イラク訴訟違憲判決は、高等裁判所で出された唯一の9条に関する違憲判決で、規範としての価値は高いと言われています。

ここに、名古屋高裁イラク派兵違憲判決の判決文要旨(←実際に2008年4月17日、裁判長が法廷で読み上げた、判決文の簡略版)をピックアップします。

あくまで「要旨」であり、判決の一部にすぎませんが、ご参考になさってください。
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by kahajime | 2014-07-04 15:43 | イラク
 2013年8月30日午後、自衛隊イラク派兵差止訴訟名古屋弁護団、元・自衛隊イラク派兵差止訴訟の会有志として、「シリア軍事介入を止めさせ、憲法にもとづいた非軍事平和外交を」と題する緊急要請書を安倍晋三内閣総理大臣、岸田文雄外務大臣、小野寺五典防衛大臣宛てに執行しました。

 以下、要請書の文面を転載します。

 オバマ米政権は、8月21日に起きたとされる大規模な化学兵器攻撃をアサド政権の行為だと明言し、国連安保理決議を得なくても軍事介入に踏み切る姿勢を鮮明にしました。同盟国(英国、フランス)と連携して、洋上から巡航ミサイル攻撃を中心に数日間の軍事攻撃という懲罰を目的とした限定的軍事行動に踏み切る可能性を示唆しています(8月28日、米PBSテレビ・インタビュー)。

 日本は、近年、2001年10月からの米国の対テロ戦争(アフガニスタンへの軍事攻撃)や2003年3月からのイラク戦争など、米国が過去に繰り返してきた武力行使に対して同盟国としての支持と理解を表明してきています。

 イラク戦争では、日本政府は何ら検証・検討することなく、ブッシュ米大統領の最後通告演説のわずか3時間後に小泉首相は支持を表明しました。その後数ヵ月経って、イラク戦争開戦の根拠として挙げた「大量兵器の存在」および「フセイン政権とアルカイダの関係」という二つの“正当性”がいずれも虚偽の情報に基づくものであったことは周知のとおりです。 

 そして、アフガニスタンとイラクへの武力行使は、いずれも数多くの民間人の犠牲と破壊と混乱をもたらし、国内避難民と国外への避難民を増加させ、新たな憎悪と更なる対立・紛争へ繋がっている事実を重く受け止めなければいけません。
 

 化学兵器の使用は非人道的行為であり、決して許されるものではありません。
 化学兵器の使用をシリア政府が行ったとすれば、国際的に厳しく非難されるべきことは明らかです。

 しかし、化学兵器使用を止めさせる、という名目で武力行使を行えば、シリアはイラク戦争の二の舞になってしまいかねません。
 国際紛争を解決する手段として武力に訴えることを明確に禁じ、永久に放棄した平和憲法を持つ国として為すべき役割と責任は、米国の軍事介入/武力行使を支持・支援することでは決してありません。

 平和憲法を持つ国の首相として、憲法にもとづく非軍事平和外交に徹することです。
 これ以外に暴力の連鎖、民間人の犠牲を生み出す連鎖、新たな敵意と憎悪を生み出す連鎖を断ち切ることはできません。

 よって私たち「自衛隊イラク派兵差止訴訟」に取り組んだ元原告有志と名古屋弁護団として、日本政府に対し、以下のことを要請します。

1.オバマ米大統領・キャメロン英首相・オランド仏大統領に対し、シリアへの軍事介入を止めさせること

2.8月31日にシリアを出国する国連調査団の報告を受け、調査継続が必要であれば第二次、第三次調査団を派遣し、事実調査を徹底して行うよう提唱すること

3.正確な事実調査内容に基づき、国連を中心として「非軍事」による問題解決策を講じるよう提唱し、積極的役割を担うこと

4.隣国レバノン、ヨルダンならびにイラクへ逃れている多くのシリア市民への緊急人道支援を速やかに講ずること

以上
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by kahajime | 2013-08-30 22:43 | イラク
20日、名古屋市内において開催した「イラク派兵違憲判決5周年の集い」には、全国から多くの方がご参加下さり、熱気のこもった大変素晴らしい集会になりました。

冒頭僕の方から、現在の改憲を巡る状勢と、この集会の全体の見取り図を簡単に説明しました。

そして明大教授の山田朗さんから、イラク戦争後に自衛隊の戦艦の巨大化が進むなど、自衛隊の戦力が向上しており、すでに世界有数の軍事大国になっている事実を指摘され、その上で更に憲法を変えて国防軍になれば、歯止めなき軍拡が引き起こされ、日本がアジアの不安定化を一気に高めてしまう危険性を指摘されました。

東京新聞の半田滋さんからは、安倍首相が述べている憲法に対する発言に如何に嘘が多いか、ということを指摘され、実体を無視して「論理」だけで考えると一見正しく思わされてしまう、という危険性も指摘しつつ、安倍首相が述べているさまざまな嘘を暴いて下さいました。

北海道の佐藤弁護士から、昨日ほぼ全面勝訴をした自衛官の人権訴訟についての報告があり、また仙台の千葉弁護士からこれも一審で勝訴判決が出た情報保全隊訴訟の報告と、控訴審で予定されている情報保全隊長の尋問について少し触れられました。東京の種田弁護士からは、最近自衛隊を銃刀法違反で告発したことについて(かなり多方面から話題になっていますが)の報告がありました。

最後に内藤功弁護士から砂川事件の最高裁の対米従属の問題(最近新たな情報が出てきた件です)の話から、恵庭、長沼、百里と、それぞれの裁判の闘いが今でも生きていることをリアルにお話しいただきました。

全体を通して、憲法を使っての裁判や様々な取組がかなりの成果を上げており、憲法には軍事国家への道を食い止める確かな力があるということを実感できました。

弁護団としては、改憲の動きに抗うために、全国での学習会や、多方面での憲法と平和的生存権を使った取組をしていくことを、この集会で決めました。

参加された多くの方から、本当に参加して良かったと仰っていただきました。
この時期に必要な企画と考えて練った上での企画でしたが、予想以上に良い集会になったと思います。

ご参加いただいた皆さん、どうもありがとうございました。
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by kahajime | 2013-04-22 00:14 | イラク
イラク戦争開戦時、ブッシュはあくまで「大量破壊兵器の疑い」を理由としていた。大量破壊兵器がなかったことがはっきりした後は、「民主主義の闘いだ」という建前にシフトした。

しかし、一言も「石油のため」との言葉は口にしなかった。

この言葉を発したら最後、政権は立ちゆかなくなることをブッシュは知っていたからだ。

石油利権のために戦争、ということが、本質であったとしても、アメリカの社会はこれを正面から許すほど、未成熟な社会ではない。

これに対して、日本はどうだったか。

イラク戦争を支持し、自衛隊派遣を決めていく際、堂々と「中東に石油を依存している日本」を前面に出し、「石油のためには致し方ない」ということを正面から国会で議論し、国民にも説明し、一定の国民はこれで納得していった。

これは、自分の生活のためには、他国の国民がいかに犠牲になろうとも、「仕方がない」という論理だ。

そこに、自分たちが加害者であるという自覚はない。この無自覚が、安易な思考と外交政策を助長している。

この論理が、日本では幅をきかせている。

確かに、イラクでどれだけ多くの市民が犠牲になっていったか、その実態を知らないが故に、安易に「石油のためには仕方がない」と単純に思い込んでしまったのかもしれない。

しかし、少しの想像力を持てば、自分たちの利権のために、人の命を犠牲にしていくことに胸が痛むはずである。ところが残念ながら、今の日本にはこの想像力すら足りない。まして加害者である自覚などみじんもない。

これは、他国に対して、ということだけではない。

沖縄に基地を押しつけ、その上で「日米安保の利益」だけは享受して当然、という発想が、沖縄以外の本土の国民には多くある。

自分の利益を守るために、他人を犠牲にしても「仕方がない」という発想だ。沖縄に犠牲を押しつける加害者であるという自覚もない。
これは、イラク戦争を支持していった思考と共通する。

そしてこれは、原発の件でも同じだということに気づく。

電力の大量消費という利益を受けるためには、原発で犠牲になる人達がいても「仕方がない」という発想だ。

今、原発を推進・維持しようとしている人達は、こういった思考に近いように思える。

さらに、今、原発反対を訴えている人達も、被害者意識が強いことに、僕は若干の違和感を覚える。
僕たちは、これまで電力の消費という利益を受け、被害を福島に押しつけてきた加害者なのではないか。

自分も原発の被害者であると同時に、加害者でもある、という自覚を持つことなくして、福島の市民の被害回復には繋がらないし、原発廃止に向かう本気の力にはならないのではないだろうか。

被害者意識だけでなく、自分たちの加害性も自覚した、反原発運動への発展が必要ではないか、と思う今日この頃である。

ただ、反原発の声をますます上げていく、ということが重要だと言うことには異論はない。被害者としての訴えを自粛しろ、というつもりもないので、誤解をしていただきたくない。
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by kahajime | 2011-09-11 23:37 | イラク
9.11から10年が経った。

この10年の「テロとの戦い」で、どれだけ多くの罪のない市民の命が奪われただろう。
どれだけ多くの家族が悲しみに暮れただろう。
どれだけ多くの憎しみと絶望が生まれただろう。

イラク戦争が誤っていたことははっきりした。
ビンラディンが殺されたことで、本当に9.11がビンラディンが仕組んだことなのか、という真実さえ、葬り去られた。

「犯罪」には「刑罰を」が市民社会の原則だ。
「テロ」は重大な犯罪だが、あくまで犯罪だ。
だから、「戦争」でも、「殺害」でもなく、身柄を拘束し、法廷にかけ、真実を解明する努力を経た上で、刑罰を科す、ということが、市民社会の原則のはずだ。

その市民社会の原則が、この10年で完全に崩れ去った。

犯罪者を殺すため、他国の主権を侵害して、大規模な「掃討作戦」を行い、多くの罪なき市民の命を奪った。

この10年で、数十万人の犠牲の上に、私たちは何を得たのだろうか。
失ったものばかりではなかったか。

せめて、この10年の過ちを二度と繰り返さないという教訓だけは、しっかり学び取りたい。

そのために、オランダやイギリスは、イラク戦争の検証を行った。

アメリカの戦争に思考停止のまま付き従い、イラクに自衛隊を派兵した私たち日本人も、イラク戦争を検証する責任がある。

私たちの責任を果たしていくべき時だ。

思考停止と、人ごととのような傍観を、いいかげんやめていきたい。
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by kahajime | 2011-09-11 23:09 | イラク
僕ら市民・弁護士が自衛隊イラク派兵差止訴訟を提訴したのは2004年2月。

僕はこの訴訟の弁護団事務局になりました。

名古屋地裁に全国から3268人の市民が原告になり、4年間裁判を闘いました。
そして、2008年4月17日、名古屋高裁は「イラクでの航空自衛隊の活動は武力行使を禁止した憲法9条1項に違反する」という歴史的な違憲判決を出しました。

僕らは法廷で、イラクで行われている事実をとにかく丁寧に伝え、「何千人、何万人が犠牲になっている」という抽象的な「被害」の提示だけではなく、イラクの普通の市民一人一人の人生が、如何にアメリカの「正義」によって踏みにじられていったのかを丁寧に伝えていきました。

その中で、劣化ウランによって、イラクの多くの子どもたちが「被曝」し、白血病の子どもたちが急増していること、多くの障害児が生まれている事実を、映像などを通して伝えてきました。このことは、本当につらい事実でした。

こういった事実の積み重ねが、裁判所を動かし、違憲判決に結びついたのだと思います。

僕たちは、法廷で、アメリカも、日本も、劣化ウラン弾と子どもたちの健康被害の因果関係を認めていない、ということも伝えてきました。

今、福島(あえて、「フクシマ」とは書きません。違憲判決後、僕を講演にたくさん呼んでもらった大好きな県だからです)では、多くの子どもたちが危険にさらされていると言わざるを得ません。

劣化ウラン弾と子どもたちの健康被害の因果関係を否定する人たちが言う「安全」という言葉。

確かに、白血病等の症状は、すぐには出てきません。因果関係の立証が困難です。
だからこそ、政府は平気で「安全」といっているのかもしれません。

イラクではたくさんの命が奪われていきました。
イラク訴訟は、奪われていく命に向き合うつらい裁判だったのです。
二度とこんな裁判はしたくない、というのが本音です。

しかし、福島、その周辺で同じことが生じているのではないか、とても心配です。
健康被害についての裁判などをする必要がないことを祈るばかりです。

この国は、人の命も健康も、生活も「自己責任」の国なのだと思わざるをえません。

子どもを守るのは、自分なんだ、という原点を確認して行動していく他ないのではないかと思います。
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by kahajime | 2011-05-10 16:49 | イラク