カテゴリ:原発( 4 )

もう10年前の話。

スイスのジュネーブにあるILO本部と国連ヨーロッパ本部の人権高等弁務官に、日本の労働者の置かれた深刻な実態を伝え、日本政府に勧告を出すよう要請する目的で行った。

ジュネーブ以外にも、チューリッヒなどにも足を運んだ。
そして、チューリッヒで5月1日を迎え、メーデーが行われたので、せっかくだと思いメーデーに参加してみた。

チューリッヒはスイスの首都ではあるが、こじんまりした街で、落ち着いた街である。

しかし、メーデーの時だけは、どこからこんなに人が出てきたんだろう、と思うくらい、多くの人達がデモに参加し、町中を歩いていた。

日本のデモに比べ、色彩的には圧倒的に赤が多く、いろいろな訴えが書かれたプラカード(全く読めませんでしたが)の他、とりわけ真っ赤な旗に、チェゲバラの顔が黒でデザインされている旗を多くの人が抱えていた。
風船を持ったりなんて、穏やかぶりをあえてアピールする日本のメーデーとは全く異なり、見た目はずっとストレートで、労働者として訴えることを訴えるんだ、という気迫に満ちていた。

道いっぱいを赤い色彩のものすごい多くの人達が、堂々と流れていく姿は圧巻だった。そして、いつまで経っても、人の波が終わらない。

僕もデモに参加したが、僕が見た限り、警察の警備など全くといって良いほどなかった(当時撮った写真を見ても、警察の姿は全くない)。

僕がメーデーに参加して歩いたのは、古い街中の道で、もともと車の往来が激しい基幹道路ではなかった。だから、もしかしたら、車の行き来が多い道では、警察が交通整理などをしていたのかもしれない。

ただ、街の雰囲気としては、「デモで訴える人達は、当然の権利を行使している」と当たり前のこととして受け止めている感じで、警察にも「デモを管理する」などという認識はなかったと思う。

確かに、車の往来が多い道をデモ行進する際、警察の方々の交通整理は重要であり、デモをする人の安全も守りつつ、車の往来をできる限りスムーズにしようという配慮は必要だろう。

したがって、日本のデモについても、警察の対応は不必要だ、などとは全く思わない。

しかし、日本、とりわけ、最近の東京の「素人の乱」の方たちが企画するデモに対する警察の対応は、明らかに異常だ。デモに対する過度な、不当な対応がなされていると言わざるを得ない。

あたかも、街中では、原則として表現の自由がないかのような状況が作り出されてしまっている。

この間の逮捕の映像を見る限り、この程度のデモで、警察がこれだけの過剰な対応をする、というのは、国際的に見て、少なくとも民主主義国家と標榜する国家の中では、異常であると言わざるを得ない。

警察を指揮する側に、いろいろな意図があるのだろうが、東京の警察の対応は、どう見ても行き過ぎである。

それこそ、あまりにひどい場合には、国連のヨーロッパ本部の人権高等弁務官に会いに行って報告をしなければならない。恥ずかしいことであるので、避けたいところである。
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by kahajime | 2011-09-16 01:10 | 原発
昨日、新宿の脱原発デモで逮捕者がでたとの情報が昨日から入ってきています。

その後の詳しい状況がまだわからないので、何とも言えませんが、逮捕状況の映像を見る限り、弾圧して逮捕をする必要のあるデモであったとは全く考えれません。
挑発行為があったようにも思えません。

情報を整理した上で、改めて、不当逮捕であるとの抗議をしっかり出して行かねばと考えています。

今のところ、東京以外で逮捕者がでたという話はありません。

新宿で逮捕者がでたという情報に、過敏にならず、正確な情報を集めた上で、予定通りに表現行動に参加していただければと思います。

なお、あくまで現時点の個人的感想ですが、5月のデモで逮捕者が出たのも、同じ主催者のデモのようです。反原発のデモはたくさんありますが、警察の対応に明らかに温度差があります。どうも、この主催者関連のデモが狙い撃ちされているような気がしてなりません。
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by kahajime | 2011-09-12 18:14 | 原発
先週、志賀原発2号機運転差し止め判決を書いた井戸裁判官との対談をしました。
準備にあたって、当然判決文は全部検討し、その他の判決も検討し、その他原発関係の専門書も、原子力推進側の専門書も含めて検討しました。

対談の責任を果たすためにかなりがんばりましたが、企画が終わるとどんどん頭から抜けていくので、せめて、井戸さんら3人の裁判官が書かれた金沢地裁平成18年3月24日付判決のポイントを、私の理解の範囲でまとめておきます。

大事なのは、判決文の60ページあたりと、170ページあたり以降です。

1.原告の権利
 差し止め請求を認める原告側の権利侵害としては、環境権は理由とならないが、人格権侵害が根拠となる(※人格権は、憲法13条に基づくものであり、民法上も定めがある)。

2 立証責任
 人格権侵害の具体的危険があること、つまり、許容限度を超える放射線を被ばくする具体的危険が相当程度あることを原告がまず立証する。
 この立証が成功した後、逆に被告北陸電力側が、具体的危険がないことを反証する。  
 (※これは、一見浜岡原発訴訟などの判決よりも原告に負担を課しているようであるが、最終的な立証責任を国側に転換した点で、この判決の結論を導く重要な柱となっている)。

3 地震が起こるなどの事態ない場合に、原発の多重防護が機能せずに過酷事故が起こる具体的危険性を原告は立証できていない(※これで判決文の3分の2は終わる)。

4 しかし、地震の検討に入り、被告側の耐震設計は、i 直下地震の想定が小規模に過ぎる、ii 考慮すべき邑知潟断層帯による地震を考慮していない、iii 原発敷地での地震動を想定する手法に妥当性がない等の問題点があるとした。そして、被告の想定を超えた地震動によって被告が構築した原発の「多重防護」が有効に機能せず、過酷事故が起こり、原告らが上記被ばくをする具体的可能性があることを原告は相当程度立証した。
 これに対し、被告北陸電力は、当時の指針に適合して建設した、ということばかりに終始し、具体的危険がないことの立証ができていない、とし、原告に軍配をあげます。

5 受忍限度の件
 そして、受忍限度を超えて違法であるかについては、本件原子炉の運転が差し止められても少なくとも短期的には被告の電力供給にとって特段の支障になるとは認め難く、他方で、被告の想定を超える地震に起因する事故によって許容限度を超える放射性物質が放出された場合、周辺住民の生命、身体、健康に与える悪影響は極めて深刻であるとし、人格権侵害の具体的危険は受忍限度を超えていると判断しました。

6 原告適格
 いったん過酷事故が生じた場合には、その影響は広範囲に及ぶと認定。チェルノブイリ事故の際でも8000キロ遠方にも放射性物質が飛散しており、また、食物の流通などで汚染が拡大する危険性がある、とし、熊本の原告についても、許容限度である年間1ミリシーベルトをはるかに超える被ばくの恐れがあるとし、全ての原告らにおいて、上記具体的危険が認められるとして原告適格を広く認めました。

 原発の危険が現実のものとなった今読めば説得的ですが、まだ事故が起こる前に、よくこれだけ踏み込んだ判決を書かれたものだと本当に感心します。

 東電福島原発の事故が現実に起こり、この判決が指摘していた点が全て現実のものとなったことに、驚きと共に、この判決を謙虚に受け止める必要があると痛感します。

 まずは、判決文を入手され、学習の素材とされると良いと思います。かなり深まります。
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by kahajime | 2011-08-28 22:34 | 原発
8月21日、名古屋市内で井戸謙一元裁判官の講演がありました。
講演では、自身が書かれた志賀原発2号機の差し止め判決の内容について、パワーポイントを使って解説いただき、その他、福島県郡山市で起こしている子どもたちの集団疎開訴訟、滋賀県大津地裁で起こしている敦賀原発の差し止め仮処分の裁判についても説明いただきました。

後半では、私が対談役を務め、集団疎開訴訟のことや判決のこと、裁判官の考えや今後の司法の役割などについてご自身のお考えをお話しいただきました。

お盆明けにもかかわらず多数の方にご参加いただき、充実した会になりました。

名古屋でも、多くの市民が原発の問題に関心を持っています。
とりわけ、敦賀の原発は、ひとたび事故でもあれば、名古屋に直接影響があります。

名古屋の弁護士としても、やるべきことをしていかねば、と思いを新たにした次第です。

具体的に考えていることがありますが、それはまた具体化する段階でご説明できればと思います。
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by kahajime | 2011-08-28 10:42 | 原発