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かもがわ出版さんから出版させていただいた「子どもと保育が消えてゆく」は、公式の発売日は2月24日だそうですが、一足先に著者のもとには100冊単位で送っていただきました。

2,3日で手元の200冊がなくなり、多くの方から本を読んだという感想が寄せられました。

「子ども子育て新システムって、こんなに深刻な問題だとよく分かった。とても分かりやすかった」
「わずか63頁で、子ども、子育て、保育、介護保険、障がい者自立支援法、子どもの貧困、海外の事情などまでよくわかった。ほんとうにすごい本です」

等と仰っていただきました。ありがとうございました。

でも、一番嬉しかったのは、
「温かい気持ちになれる本。川口さんの娘さんの保育園って、本当に良い保育園ですね。そんな良い保育園を潰しちゃダメですよね」

という言葉です。

僕のこの本は、娘の保育園を通して見えてきたこと、学んだこと、そして、嬉しかったことがあって、初めて書けた本です。

もちろん、弁護士としての経験や知識は総動員しましたが、一番原動力になったのは、保育園に子どもを預ける父親として感じている、保育園の皆さんへの感謝の思いと尊敬の念です。

そして、保育園と子どもたちを守りたい、という、切実な思いから、書き上げました。


かもがわ出版さんのHPから注文が出来るので、是非、お求めいただき、議論したりする素材に使っていただければ幸いです。

http://www.kamogawa.co.jp/kensaku/syoseki/ka/0527.html
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by kahajime | 2012-02-23 00:24 | 保育
「子どもと保育が消えてゆく」(かもがわブックレット)が出来ました。

全国の書店に並ぶのは来週末になるようですが、僕の手元には、今日届きました。

保育園に子どもを預ける親の目線から書きはじめ、新システムについては、障がい者自立支援法などの現場を知る立場も交えながら、書いています。

今日一日だけで、かなりの方に買っていただき、好評を得ています。

お願いがあります。地元の図書館に行って、「かもがわ出版からでた、子どもと保育が消えてゆく、という本を読みたい」とお願いいただき、各地の図書館に一冊、おいて欲しいと思います。

少しでも多くの方の目にとまることを期待しています。

保育の解体を食い止め、保育をよくすることに、人間らしい社会を作ることに、ほんの少しでも僕の一冊が役に立てばいいと思っています。
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by kahajime | 2012-02-17 23:35 | 保育
■補助金なしでは手厚い保育は不可能

 子ども子育て新システムになれば、自治体から保育園(こども園)への補助金が一切なくなります。そして、「こども園」に経済原理が持ち込まれる結果、こども園ではどうしても「利益拡大」と「コスト削減」が第一となります。

 親の保育料と、わずかな「こども園給付」で、手厚い保育ができるはずはありません。保育園の「費用」の多くは人件費ですから、人件費の抑制が進み、非正規雇用が拡大されることになるでしょう。

 経験豊富な保育士が、現場を去り、保育のスキルが承継されなくなります。
 保育士は一人でなるべく多くの子どもを見なければならなくなり、保育士は余裕がなくなります。子ども一人一人の個性を丸ごと受け止めながら、それぞれの育ちを大事にした保育の実践はできなくなっていくでしょう。
 子ども達は、伸びやかに、安心して日々生活し、育っていくということが困難となります。

 保育士の入れ替わりも激しくなり、子どもは信頼できる保育士を作ることができなくなって不安定になります。子どももストレスが増え、心身の健全な発達に悪影響が生じかねません。けんかや事故も増えかねません。
 子どもの育ちは、年単位などの長いスパンで見ていくことが求められますが、こういった長い目での保育もできなくなるでしょう。

 保育園の経営は不安定となり、特に小規模で、手厚い保育をしてきた保育園は厳しい経営を強いられるでしょう。
 保育の質を確保しようとする認可保育園はつぶれていき、残るのは、たくさんの子どもを預かる「マンモス園」、高い保育料が必要な「ブランド園」、保育者として非正規職員ばかりを雇っている「低コスト園」、そして、マンションの一室で行う「保育ママチェーン」ということになりかねません。

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by kahajime | 2012-02-12 18:24 | 保育
■「保育制度」の「規制緩和」論について
 現在の保育制度解体を唱える論者に鈴木亘氏(学習院大学)がいます。
 鈴木氏は、待機児童解消が出来ない要因として、①公立保育所の保育士給与が高い、②保育士の組合等、既得権益者が規制緩和に反対している、③認可の規制が強く、保育所の参入障壁が高いなどと主張し、現在の保育制度解体を訴えています。

 特に、鈴木氏は、①の点で、ことさら公立保育園の保育士の給料が高いことを強調し、あたかも保育士一般の給料が高いかのような主張をしています。
 しかし、認可保育園の保育士の給料は、むしろかなり低いと言わざるを得ません。
 さらに、公立保育園についても、多くの公立保育園では正規保育士採用を減らし、非正規(臨時)職員を多く雇っており、保育士の非正規化と給料の低下はかなり進んでいます。 低賃金の保育士を増やし、保育士の給料が全体的に下げられ、保育士の地位はますます低下しています。それでも待機児童は解消されるどころか、増えています。

 また、②については、小泉構造改革以来、常に使われてきた「既得権益者」敵視といういつもの単純な構図の設定です。しかし、「規制」は、子ども達の命と安全を守るための「規制」であって、金儲けを目的とした「利権」のための「規制」ではありません。ここでの「既得権益者」とは、子ども達自身であり、子どもの命と健やかな成長を願う親や保育者達に他なりません。子どもの命と健やかな成長を願うことが、「既得権」でしょうか。

 さらに、③の認可の規制が強いのは、子どもの命と健やかな成長を守るための最低限の規制であって、最低基準なども、全く高い水準でありません。
 規制を緩和し、市場原理の導入することで、多くの企業が参入し、待機児童が解消する、というのは『幻想』でしかないと思います。

■「市場」の現実
 藻谷浩介さんの「デフレの正体」(角川書店)という本が少し前に話題になりました。
 そこで、愛知県東海市の太田川駅前のことが取り上げられています。この駅周辺には、世界最大級の自動車用鋼板工場・新日鉄名古屋製鉄所があり、人口増加率も全国有数。2007年当時、全国最強と言われた愛知県内でも特に景気の良い街でした。

 それでも、駅前はコインパーキングだらけ。「好景気というだけでは、レッセレールだけでは開発はおきなかった」のです。「産業も人口も資本もある地域なのですから、民間だけでいくらでも出来ることはあるはずなのです。ところがそう思って100年間放っておいたら、こんな状態になってしまった。出張者も極めて多いというのに、企業もないような田舎町でも最近増えている○○インといった宿泊専業ホテル1つ、誰も建てて儲けようとしてこなかった」のです。

 新自由主義論者は、市場の任せればうまくいく、行政がそれを邪魔している、と言ってきました。しかし、現実にこの10年を振り返って、「規制緩和」をして市場に任せてきたところで、どれだけ生活が向上したでしょうか。確かに、介護保険分野での「グッドウィル」のように、六本木ヒルズに本社を構えるような巨額の利益を上げる企業は一部出てきましたが、その後の「グッドウィル」はご存じの通りです。「規制緩和」が私たちの生活の向上に繋がらないことを、私たちはこの間かなり学んだはずです。

 まして、もともと、保育の分野は、『儲かる』分野ではありません。とりわけ、働く世代の不安定雇用や低賃金化が進んでいる中で、高い保育料を支払える子育て世代はかなり少数です。そこに、企業が利益を求めて「どっ」と参入してくることはあり得ません。
 現実に、2000年の厚生省通知で、株式会社などの営利法人に参入が解禁されましたが、企業参入は進んでいません。

■「企業」の参入だけ待機児童解消にはならない
 待機児童解消のためには、行政が、どの地域にどれだけ待機児が生じているか、あるいは新婚世代が増えているかを調査、分析し、計画的に保育所を作る計画を立て、迅速に公費を積極的に投下し、保育所を自ら作っていくことでしか、待機児童の迅速な解消は出来ません。これは、冷静に考えれば、当然のことです。

 「市場」まかせでは、いざ、公的保育を破壊してみたものの、保育所がつぶれる一方で、作られない地域がたくさん出てくるはずです。困っている親や子どもがたくさん生まれても、国や自治体は、「規制」をしないということで、ただ傍観していることになります。 そんな社会で、本当に良いのでしょうか。

 鈴木氏は、「保育産業は税金投入率の高い『補助金漬け産業』」と言っています。鈴木氏の主張は、終始一貫して、保育を『産業』ととらえ、「コスト削減」と「営利追求」の発想で貫かれています。

 私は、「保育を奉仕で行え」とは全く思いません。必要な経費は払われるべきだと思います。保育士の生活をしっかり保障し、誇りを持って仕事が出来る環境を作ることは、保育の質を高める上で不可欠です。

 しかし、「必要な経費を得る」ことと、『金儲け』をする、ということとは違うと思います。
 金儲けを第一の目的とした時点で、「子どもの育ち」が、「コスト削減」と「利益拡大」の犠牲になりかねないことは、すでにいくつかの企業園の現実が実証しています。

■そして、子どもがいなくなる
 ゼロ歳児から小学校に上がるまでが、人間の根っこの部分が育つ、最も大事な時期です。 親や保育者、地域などから愛情を受け、一人の人間として大切にされることが、人間の根っこが育つ上でとても大事だと思います。
 しかし、市場原理を第一とする論者は、とかく「コスト」を唱えます。
 「コスト」の点を突き詰めれば、子どもの存在自体が「高コスト」となってしまいます。
 「コスト」として「荷物」のように扱われる中で育つ子どもは、幸せでしょうか。人間の根っこがしっかり育つでしょうか。
 親は、子育てに喜びを見いだせるでしょうか。
 保育士は、子どもに対して愛情を持ってその専門性を発揮できるでしょうか。
若い世代は、子どもを欲しい、育てたいと思うでしょうか。
 あらゆる分野で続く「コスト削減」と「人員削減」。子どもまで「コスト削減」「人員削減」を追及すれば、この国からはいずれ子どもがいなくなるでしょう。
 親や保育者、地域、自治体や国が、それぞれの資源を持ち寄って、愛情を持って大事に子どもを育てていく。それがもともとの子育ての姿ではないでしょうか。
 
■「資源」を出し合おう
 核家族化が進み、雇用環境の悪化とともに、共働きが拡大しています。
 専業主婦が多かった僕らの親の世代と、僕らの世代とは環境が全く違います。
 そのなかで、子どもの日々の育ちにしっかり手をかけ、愛情をかけることをしようとすれば、保育にかかる資源を社会全体で出し合いながら、社会全体で子どもを大事に育てていくことがどうしても必要です。
 子どもを育てる社会的な「資源」には、親や保育園の保育者、地域など、様々な「資源」があります。
 娘の保育園でたとえれば、親は保護者会での関わりや、運動会やバザー、地域広報など様々な役割を果たします。もちろん、保育料も払っています。
 保育士は、日々、子どもの育ちにその専門性を発揮します。保育士の専門性と愛情は、子どもの育ちにとってかけがえのない「資源」です。保育士は、研修に努めるなどし、専門性を日々磨いています。
 地域の市民は、地域開放やバザーなどで保育園と関わり、保育園を地域の中で温かく見守り、子ども達の成長を見守ります。この地域の理解と支えも、保育園にとってかけがえのない「資源」です。
 そして、自治体や国が、最低基準を確保し、必要な指導監督責任にを果たし、財政的にも保育園を支えます。これも、大事な資源です。十分果たされることが求められています。
 このように、様々な資源が重なり合って、1つの保育園と、そこでの子どもの育ちが支えられていくのです。
 これこそが、児童福祉法の本来の理念ではないでしょうか。 
 「コスト」という「削る」「マイナス」の発想から、いい加減卒業しないといけない時期ではないでしょうか。
 親や保育者、地域や自治体、国が、それぞれの「資源」を持ち寄って、よりよい子育てを「積み重ねていく」、という「プラス」の発想に発展させていくべき時だと思います。
 
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by kahajime | 2012-02-12 17:45 | 保育
来週末に、「子どもと保育が消えてゆく」(かもがわブックレット)が出ます。
1月末の「新システム」の作業部会での「承認」のことまで、本には書き込んでいますので、遅くなってしまいました。
全国の書店に届くのは、2月20日以降になるかと思います。

愛知県碧南市の保育事故のことと、子ども子育て新システムの問題の大きく2つの柱で書きました。
現在の保育の問題と、さらに問題が深刻化することが確実な「子ども子育て新システム」について、ぼくなりにまとめてみました。

新システムは、一見複雑ですが、本質も問題もいたってシンプルです。
「複雑だから使いにくい」という指摘はあるとおもいますが、複雑だから、知ろうとしない、というのは困ります。
たとえば、幼保一体化についても、3元化とか、5元化とか、見方によってはありますが、大事な点は、「待機児童解消のために幼保一体化をする、と宣伝してきたけれど、幼保一体化は全く実現しないし、待機児童解消にもながらない、むしろ、巨額の税金を使って、逆に待機児童は拡大する」という点です。こういった新システムの問題を大きく掴むことが大事だと思います。
ブックレットでは、新システムの問題点を端的に、なるべく分かりやすいようにと書いています。

是非、ご活用下さい。
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by kahajime | 2012-02-12 01:19 | 保育