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 去年のことである。
 名古屋市内のある商店街にあった老朽化した家屋が倒壊する、という事態が生じた。隣家のブロックを破壊し、車数台を全壊させるなどの多額の損害を与えてしまった。
 その土地建物の名義は、すでに亡くなっている男性の名義であったが、法律上は、この男性が死亡した時点で、相続人である妻と2人の子どもに相続が発生していた。そのため法律上は、この土地建物についての民法717条の工作物責任を3人が負わざるをえない。
 そして、隣家の被害は決して少ないものではなかった。

 私が縁あって、倒壊した家屋の相続人らの代理人を引き受け、何とか土地をそれなりの条件で売却し、その売却金をもとにご迷惑をおかけした隣家に対する賠償の交渉を行った。 

 不動産売却までに一定時間が必要であったが、その間も代車代の対応など、できる限り誠実な対応を務めたつもりである。
 最終的には、何とか話し合いをまとめさせていただくことができた。

 この件では、倒壊した時点で、倒壊家屋にも、また、倒壊した隣家の庭などにも人がいなかったことから、人命に関わることはなかったことは幸いであった。
 もしも人が犠牲になっていたらと思うとぞっとする。
 老朽家屋を放置しておくと、大変な事態が生ずることを実感した事件であった。

 この件では、不動産が売却できたことで、幸い賠償金の支払いに充てることができた。
 しかし、もし、土地の売却金額が低かったり、あるいはそもそも土地の売却ができなかったとすれば、相続人らは多額の賠償金支払い義務を抱えてしまったかもしれない。

相続手続きを先延ばしにするなどして、老朽化した家屋を放置している件は少なくない。
 しかし、老朽化した家屋に住んでいなかったとしても、所有権を相続している者としての責任は免れない。隣家に損害を与えてしまってからでは遅い。

 もっとも、空き家問題については、様々な問題が絡み合っていることも多く、そう単純ではない。
 しかも、対処すべき方向性はかならずしも1つではない。

 いわゆる問題空き家として収去する、という方向性だけでなく、空き家の利活用、という方向性もある。放置してある空き家が、一定手を入れることで負の遺産から資産価値を持つ物に変わることもある。空き家の利活用がまちづくりにつながることもある。

 空き家対策を巡っては、空き家や老朽家屋の当事者、隣家、行政などに加え、弁護士、税理士、不動産業者、建築士など、多くのステークホルダーが重層的に関わりながら、一つ一つの空き家を解決していくことが不可欠である。

 空き家問題は、根が深く、また、対応も決して単純でははい。

 空き家問題については、空き家の利活用、特に古民家再生、という点も含め、私自身いろいろな関わりを持っているので、今後も引き続き、ブログでご紹介させて戴きたい。
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