8月末に 「立憲主義の破壊に抗う」(新日本出版)という本を出させていただきました(1000円税別)。

集団的自衛権の問題について、コンパクトにまとめたものです。子どもの保育園のお父さんお母さんにも読んでもらえるように、とイメージしながら、書かせていただきました。

ご活用いただければ幸いです。
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# by kahajime | 2014-08-31 19:02 | 憲法
7月1日、安倍内閣は集団的自衛権行使を認める閣議決定をしました。

閣議の内容は、とても従来の政府見解と整合性があるものではなく、論理的にも破綻しています。

閣議決定の内容が憲法の「枠」を踏み越えていることは間違いなく、憲法違反の内容ですから、この閣議決定に依拠して作られていく今後の法律は、すべて違憲の推定が働くことになります。違憲の法律に基づいて行われる行為も違憲の推定が働きます。

ですので、いずれ、いつかの段階で、違憲訴訟が全国各地で起こっていくことでしょう。

この際、2008年4月17日に名古屋高裁で示された、「航空自衛隊のイラクでの活動が憲法9条1項に違反する」という違憲判決は参考になると思います。日本の裁判のシステムの限界から、結論としては敗訴していますが、「規範部分」、特に平和的生存権の要件論は、参考になるのではないかと思います。

もともと、違憲判決自体がほとんど出されない日本の司法の中で、イラク訴訟違憲判決は、高等裁判所で出された唯一の9条に関する違憲判決で、規範としての価値は高いと言われています。

ここに、名古屋高裁イラク派兵違憲判決の判決文要旨(←実際に2008年4月17日、裁判長が法廷で読み上げた、判決文の簡略版)をピックアップします。

あくまで「要旨」であり、判決の一部にすぎませんが、ご参考になさってください。
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# by kahajime | 2014-07-04 15:43 | イラク
私自身、23歳の時に交通事故に遭い、8ヶ月入院した経験がありますが、入院した直後に、知り合いの弁護士さんに相談ができたことで、とても助けられた、ということがあります。

もともと、高校生の時に、いろいろな職業の方の話を聞く、という機会があり、川越法律事務所の島田先生の話を聞きに行ったことがあって面識はありましたが、僕が苦しんでいるときに病院にまでお見舞いに来てくれた島田先生のことは、今でも忘れません。

ここでの経験があって、司法試験を経て(当時ロースクールもなかったので、僕のようなものでも受けられました)弁護士になったので、交通事故と今の自分はいろんな意味で切っても切り離せません。

さて、巷には、保険会社が損害賠償金額を提示してから、「その金額が妥当かどうか、無償で診断します」という法律事務所の宣伝が増えています。

確かに、その段階でも、弁護士が入れば、慰謝料などはまず上がります(保険会社の基準と、裁判所の基準が違い、裁判所基準の方が高めなため)。

しかし、もっと早く弁護士に相談しておくことで、助けられた、ということは十分あり得ます(ここは、相談する弁護士によりますが)。

たとえば、保険会社が健康保険への切り替えを求めてきたとき(いつも直面しますが)、どうすれば良いのか、など、事故に遭って初めて直面することばかりだったりします。

僕の場合、長期入院が当初から見込まれたため、いろいろなうめき声がする大部屋でなく、個室に移りたい、という思いを持っていたのですが、弁護士さんが「健康保険への切り替えをする代わりに、個室費用を出すように」と保険会社に交渉してくれたため、個室に移ることが出来ました(一般的に認められることではありませんが)。

こういったところ1つとっても、弁護士さんに相談できたのは本当に良かったと思っています。
8ヶ月大部屋だったら、やってられなかったと思います。

また、一般的にも、例えばむち打ちなどの場合には、診断書の記載についても、痛みを具体的に伝え、その都度カルテにしっかり書いてもらうこと、というアドバイスも、後の後遺障害等級認定の際に大事です。

また、事故態様に争いがある場合、早期に警察から実況見分調書を取り寄せ、弁護士が現場に行き、早期にこちらの証拠収集をしておくこともあります。

いずれにしろ、弁護士に相談して全体の見通しを早いうちから持っておくことは必要です。

ですから、保険会社が損害額を提示するよりも前でも、交通事件をしっかり対応できる弁護士に相談いただけると良いと思います。

私自身、弁護士10数年、交通事件にたくさん関わってきました。今後も交通事故の被害に遭った皆さんのお力になれる弁護士でありたいと思っています。

交通事件の相談は、名古屋市内、あるいは名古屋市近辺の方については、、事務所に来所いただければ初回は無料でご相談に乗らせていただきますので、遠慮なく、名古屋第一法律事務所(名古屋・地下鉄桜通線丸の内駅下車徒歩3秒:052-211-2236)の川口までお電話下さい。
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「必要最小限の自衛権の範囲には必要最小限の集団的自衛権も含まれる」というところで自民党が落ち着きそうだ、という話です。

しかし、これは、9条についての従来の内閣法制局・政府見解について、誤った理解を前提に議論していると言わざるを得ません。

もともと、9条の政府見解については研究し、さらにこの間、阪田雅裕さんや大森政輔さんなど、元内閣法制局長官と直接お話を伺ってきた立場から、9条に関するこれまでの政府見解についてまとめます。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

・我が国の最高法規である憲法9条は、武力の行使などを国際紛争を解決する手段としては永久に放棄し(第1項)、前項の目的を達成するため、陸海空軍その他の戦力は保持せず、国の交戦権を認めない(第2項)旨規定し、前文と照らし合わせすと、一見(文理上は)非武装を宣言しているようにも読みとれる。

しかし、憲法は、自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置をとることまで禁じていないと解されるが、

・それは、あくまで外国の武力の行使によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという、急迫、不正の事態に対処し、

・国民のこれらの権利を守るためにやむを得ない措置として初めて容認され、

・その事態を排除するための必要最小限度の範囲に止まるべきものである。

この反面として、

・自国に対する直接の武力攻撃がないのに、

・他国に対する武力攻撃を実力で阻止すること

を本質的内容とする集団的自衛権の行使が憲法上認められないのは、必然的な帰結である。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

以上が9条に関するこれまでの政府見解です。

集団的自衛権については、そもそも自国に対する直接の武力行使がない以上、一部だろうが全部だろうが、憲法上は認められない、ということです。

「必要最小限ならOK」ということはありえません。

これを集団的自衛権を認めるというのであれば、認めるのが一部であろうと、憲法改正をすべきです。

「必要最小限にとどめたことで、大人の対応をした」などと評価しているマスコミの記者達が何人もいるようですが、中身を正しく理解しようともせず、「何となく必要最小限といっているので、イメージ的に抑制的なので良い」、いうことでは、ジャーナリストとしての資質を疑います。

もう少し取材対象について正確な理解を持った上で報道してほしいものです。
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# by kahajime | 2014-04-03 14:42 | 憲法
2月に日本記者クラブで、集団的自衛権行使を認める、という明確な立場をかねてより取っている、安保法制懇の北岡伸一氏の講演がありました。

■擬人化が多い

北岡さんの話を伺っていると、議論の仕方が、都合が悪いところは一般論化したり、擬人化してごまかしている点が多いように思います。これは北岡さん達の主張の仕方で共通している点です。

何となく、ごまかされてしまう人もいるようですが、具体的にどのようなことを現実に想定しているのか、そこを今想定して議論する必要性がどれだけあるのか、ということを常に念頭におきながら、確認作業をするイメージで話を聞いていく必要があると思っています。

「友人が困っているのに黙ってみているのか」という擬人化や情緒的な議論は、わかりやすいですが、国家間の問題に安易に置き換えるべきものではありません。

■一点のみの議論の仕方
また、議論の仕方が、一点の軍事活動のみをピックアップする議論の仕方に終始していますが、軍事行動はそれまでの流れの上で行われるものですし、また、一瞬で終わるものでもありません。

例えば、朝鮮有事の際に、アメリカから要請があったとき支援する、ということをさらっと言ってしまいますが、そこで自衛隊が米船艦支援のために出ていくことは、参戦するということになりますから、日本本土も国際法上は「敵国」からの攻撃対象となり、「敵国」からの攻撃を強く誘発することにます。そういった点についてまで真剣に議論している形跡はありません。

講演の途中で、北岡さんは、阪田さんについて「安全保障政策をもっと勉強してくれ」と言っていますが、むしろ抽象的な勉強だけで現実の戦争についてのリアリティーを欠いているのは北岡さんの方ではないか、と思います。阪田さんと直接何度も、対談しましたが、北岡氏よりも阪田さんの方が現実の危険性を念頭に議論されていると思いました。

■「日本に重大な影響」の縛りに意味があるか
北岡氏は、「日本と親しい国が攻撃されて、その国は、ほおっておいたら日本に重大な影響が及ぶ場合」ということを、集団的自衛権の「縛り」のように主張されています。

石破さんも同じ主張をされていますが、結局「重大な影響が及ぶかどうかはその時の政治家の政治判断」と仰っていますから、現実的には、「重大な影響が及ぶ」という基準は、まったく縛りも基準もないことになる、という点が一つ大きな問題です。

北岡さんも仰っていますが、「同盟のジレンマ」があり、同盟国には、強い同盟国から見捨てられるのではないか、という「見捨てられの恐怖」と、その強い同盟国が戦争をしていくことに巻き込まれていく、という「巻き込まれの恐怖」の二つがあります。

イラク戦争の時にも、自衛隊派遣の際に国会で説明されたのが、「日米同盟のため」(もっと丁寧に言えば、ここでアメリカに協力をしておかなければ、北朝鮮有事や対中国との関係で問題が生じたときに、アメリカに助けてもらえない)ということでした。
まさに、「見捨てられの恐怖」によって、自衛隊のイラク派兵がなされ、アメリカの戦争に「巻き込まれた」のです。

集団的自衛権行使をすべきかどうか、という問題に直面したとき、「日本に重大な影響が及ぶかどうか」という制限があるといっても、その判断において、常に「アメリカを助けなければ、いざというとき助けてくれない」というお決まりの思考回路で、結局無制限に自衛隊を派遣していくことは目に見えています。

したがって、集団的自衛権行使について「日本に重大な影響が及ぶ」場合に限ると言っても、この基準は全く縛りにはなりません。

■集団的自衛権行使を認めてしまえば

ベトナム戦争などで、憲法9条があったおかげで、日本がアメリカの戦争に巻き込まれる危険が回避できた、という憲法が果たしてきた役割自体は、北岡さんも一定認めているところです。

しかし、北岡さんは、この「巻き込まれの危険」は現在はないとしています。

しかし、イラク戦争でも、「見捨てられ」の恐怖に支配されながら、イラクへの自衛隊派遣なども行iい、現実に「巻き込まれた」事実は否定できません。
ただ、イラク戦争でも、憲法9条があったことで、かろうじて自衛隊が直接の軍事行動に巻き込まれていく「巻き込まれ」の危険をギリギリ回避することができました。

最近のシリア情勢なども鑑みると、いまなおアメリカの戦争に対する「巻き込まれの危険」は否定できません。

もし、安倍政権が、「解釈改憲」により、9条の中身を放棄し、集団的自衛権行使を認めてしまえば、アメリカの戦争に対する「巻き込まれの危険」を回避する術はなくなり、「見捨てられの恐怖」に支配される中で、際限なくアメリカの軍事戦略に日本の自衛隊が組み込まれていくことにもなりかねません。

■イラク戦争時に、集団的自衛権行使が可能だったら
10年前のイラク戦争では、アメリカはイラクへの「先制自衛権行使」を根拠としたとされ、イギリスはアメリカとの「集団的自衛権行使」を根拠としたと解されています。
 そうであれば、10年前に、仮に9条の「解釈改憲」を行って「集団的自衛権行使」が可能だとしてしまっていたら、日本の自衛隊はイギリス並みの派遣となった可能性は十分にあります。
イギリス兵はイラクで179名が命を落としています。日本の自衛隊も、戦争の前線に送り込まれ、多くのイラクの市民の命を奪い、また、自衛隊員の多くも命を奪われた可能性は否定できません。

北岡さんは、「地球の裏側に自衛隊を送ることがない」かのように言ってもいますが、イラク戦争の時にはイラクにまで自衛隊を送り出しているのですから、説得力はありません。

■安保法制懇の議論の非現実さ
また、安保法制墾の4類型なども、すべて非現実的な問題です。すでに4類型は議論として破綻してます。
結局、集団的自衛権行使の本質の問題ではない部分をあえてピックアップして議論をして、一部でも「必要だ」としながら、結局は集団的自衛権そのものを無制限に認める道を作ろうとしています。

例えば、北岡さん自身が「領空は1万メートル、それより上は宇宙です」と言い、領空より上を通ってアメリカ本土に向かう弾道ミサイルを迎撃する、ということなどを主張されていますが、そもそも、北朝鮮からアメリカ本土に弾道ミサイルを発射した場合、日本の上空は通りませんし、また、領空1万メートル以上の高さを高速で飛んでいく断層ミサイルを迎撃できる技術が開発される見通しはありません。

今、現実に議論する実益のない議論なのです。

■政府見解についての理解は
さらに、憲法解釈を変えられる、という点についての北岡さんの御主張は、少なくとも内閣法制局の見解について正しく理解されていないのではないかと思わざるを得ません。

自衛権が「必要最小限」の範囲で認められ、その「幅」が時代によって変わりうる、というのは明らかに誤りです。安倍首相も石破氏も同じ主張をしていますが、従来の政府見解を正しく理解していません。

この点は、阪田さんとの本「法の番人 内閣法制局の矜恃」の139頁以降にかなり詳しく書かせていただいています。

内閣法制局の答弁の変遷などについても、おそらく、北岡さんは分析されたことはないのではないでしょうか。理解した上でのご発言であれば、あのような発言にはならないと思います。

全体的に、北岡さんも、他の安保法制懇のメンバーも、同じような考えの人達が、それぞれ自分の中で完結した抽象的なストーリーを仲間内で話し合って盛り上がっているだけのように見えてなりません。

日米安保の下、巻き込まき込まれの危険と、見捨てられの恐怖に常にさらされている日本の特殊性があるからこそ、日本の主権を守るために、「集団的自衛権行使を認めない」という憲法9条のカードを自ら放棄するようなことをせず、しっかりカードとして持ち続けておくべきではないでしょうか。
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# by kahajime | 2014-04-03 01:17 | 憲法
NHKなどでも報道されましたが、昨日、2月20日、内閣法制局長官を務めた阪田雅裕さんが国会内で講演し、安倍首相が強い意欲を示している憲法解釈の見直しによる集団的自衛権の行使容認について、「不当である」と批判しました。

開場には多くの国会議員を含め、合計200人あまりの参加があったそうです。

阪田さんは、「政府の、憲法9条の解釈を変えて集団的自衛権の行使をできるようにする、というのは不当である」と指摘した、と報じられています。

その理由について、政府による憲法解釈の変更で集団的自衛権の行使が認められるならば、「戦争の放棄などを記した憲法9条の意味がなくなる」「憲法改正は国民投票が必要だが、政府による憲法解釈の変更では国民の出番もない」ことなどをあげた、とのことです。

阪田さんは、小泉政権の後半に2004年から2年間、「法の番人」とも呼ばれる内閣法制局長官を務め、小泉首相が退陣されると同時に長官職を辞任されています。

ちょうど、その阪田さんの御著書「法の番人 内閣法制局の矜持」(大月書店)が2月20日、出版されました。

わたしが僭越ながら対談相手をつとめさせていただき、何度か対談を重ねて作らせていただきました。

護憲改憲の立場を越えて、安倍政権が進める「立憲主義の破壊」に抗うために、大きな力となる本だと思います。

ぜひお求めください。
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# by kahajime | 2014-02-21 16:57 | 憲法
 弁護士は、依頼者のために責任を持って法廷などで闘います。

 しかし、弁護士が一人で出来ることには限りがあります。

 例えば、医療事件などでは、裁判に協力してもらえる優秀な医師がいなければ、十分な訴訟準備も出来ません。

 建築紛争では、建築の専門家である建築士とのつながりも不可欠です。

  さらに、貧困を背景に生じた刑事事件の弁護人になったときに、被告人が執行猶予で出た後に、生活支援にどうつなぐか、ということも大事になってきます。その際、ホームレス支援のNPOなどと信頼関係があれば、適切に生活支援につなげることが出来ます。刑事弁護人としての仕事の範囲を超えますが、情状弁護でしっかり裁判官に伝えることも出来ます。

 大事なのは、専門家とのつながりだけではありません。

 例えば、少年事件では、少年が新たに生きる道を模索するにあたって、地域の方達とのつながりが生きてくることがあります。

 幸い、医師、精神科医、歯科医師、建築士、不動産鑑定士や税理士、様々なNPOなど、また地元の地域で、多くの素晴らしい方達とおつきあいをさせていただいております。

 これからも、多くのみなさんのお力をお借りしながら、弁護士として、困難に直面した方に向き合っていきたいと思っています。
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