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子ども子育て新システムについて補足

子ども子育て新システムはどうなったかについて、数日前のブログの記事に加えて、ちょっとだけ、詳しく書いてみます。

第1 「子ども子育て新システム」と3党合意について

6月末の三党合意で、「総合こども園法」の撤回され、子ども・子育て支援法については修正となりました。待機児童解消に繋がらない「総合こども園」法が撤回された点は、運動の成果です。
  
しかし、新システムの本質は巧妙に残されています。新システムの本質は、保育園への補助金から、親への現金給付化ですが、そこが残っています。

また、児童福祉法も巧妙に修正されています。
 「市町村は、児童福祉法及び子ども・子育て支援法の定めるところにより、保育を必要とする子どもに対して」となっていて、上位法である児童福祉法を、下位の法律の子ども子育て支援法が規定してしまっています。

その結果、「支援法の範囲」に限定した形で、市町村は責任を負う、ということになり、市町村の役割の後退します。

保育園への委託料も、附則に盛り込み、「当分の間」に限っています。

第2 現金給付化の問題

 「現金給付化」についてですが、現行制度では、市町村に保育実施義務があるので、補助金支出義務があります。その結果、親の収入にかかわらず公平な保育料負担となり、同質の保育が受けられます。

しかし、新システムでは、市町村には保育実施義務がなくなり、補助金を保育園に支出しません。
現金給付をするのみです。

その結果、保育実施義務がなくため、自治体に責任が問えません。

親からの保育料(手当含む)という形になるので、使途制限なくなり、保育所では運営の自由になります。
特に企業園など、お金を利益に回すことが可能になり、また、社会福祉法人でも、内部留保の問題不可避です。社会福祉法人の内部留保は介護保険で出ている問題です。

その反面、保育の質の低下にしわ寄せがいく保育所が増える可能性があります。
    
親の負担変わり、短期長期二分になります。延長分は一切補助がなく、全額自己負担となります。

この制度で、財務省、厚生労働省としては、補助金でなくなるので、財政抑制が可能になります。
企業等:保育園側は、儲けようと思えば儲けられます。
    


弊害としては、次のことが考えられます。
    ・本当に保育が必要な子どもを排除する可能性
    ・手厚い保育をしようとしてきた保育園ほど経営困難に。
    ・保育料は上がるだろうし、予測も困難に。年々上がる可能性も大。
    ・コスト削減が進み、詰め込み保育増大の危険。
    ・保育の質が大きく変わる。この日本から「保育」がなくなる危機。
    ・子どもではなく親の収入と仕事の仕方で、子どもが選別される。

この制度の思想的背景には、この10年あまり、日本の福祉行政を支配している社会保障制度の準市場論が強く働いています。新自由主義と結びつく発想です。
by kahajime | 2012-07-11 17:13 | 保育