刑事弁護でこころがけていること(その2)

 先ほどのブログの原稿では、「冤罪」について書かせていただきました。

しかし、刑事弁護の中で「冤罪」と思われる事件はそう多くはありません。

 私が日頃取り組ませていただいている刑事弁護も、ほとんどは犯罪を犯したこと自体は争いのない事案です。そういった事件に真剣に向き合うことも、もちろん刑事弁護人としてとても大事な仕事です。

 被害者の方がいる事件であれば、身柄拘束されている被疑者・被告人に成り代わり、謝罪に伺い、被害弁償を行うなど、とても大事な役割です。時として、被害者の方から罵倒されることもありますが、そういった被害者の方のつらい思いを被疑者・被告人に率直に伝えることで、被疑者・被告人の反省を深めさせ、更生につなげていくことも大事だと思います。
 
 なお、刑事弁護としては、とかく「示談」の獲得に目が行きがちですが、仮に示談が出来なくとも、被疑者・被告人の謝罪の思いを被害者側に真摯に伝えることで、被害者の方の被害回復に少しでもつなげていくことは、刑事弁護人として大事な役割だと思います。

 つらい仕事であることは否めませんが、被疑者・被告人にとっても、被害者の方にとっても大事なことだと思います。

  また、最近は貧困が背景にある事件が増えている印象を強くしています。

 こういった場合、単に執行猶予を取って終わり、ということでは済まされません。
 拘置所から出たその日からどう暮らしてゆくのか、という問題が生じます。
 ケースワークも含めた対応が必要です。私の場合は、名古屋の生活保護の支援グループなどにつなぎ、その後の繋がりも切らないように努めています。
 
また、近頃も話題になっている薬物事案については、長期的な治療や薬物を断ち切るための支援が必要です。
 しかし、日本は薬物に対する治療体制や再犯防止のための支援体制が極めて脆弱です。どうも報道などを見ると、「罪を償え」で終えてしまい、さらには「犯罪者」として社会から排除しようとする傾向が強い気がします。
 もちろん、薬物に手を出したことを厳しく問うことは大事ですが、大事なのは、二度と薬物に手を出さないこと、そのために本人がどう努力し、そして周囲や社会が、どう支援できるか、ということだと思います。その支援がなければ、十分な「更正」にはつながりません。

長いスパーンで本人が「薬物に手を出し続けない」環境を作っていくことが必要です。そのために本人が頑張るのであれば、その支援を社会的に支えていくことも必要なのではないでしょうか。

 犯罪に手を出してしまった人が、二度と同じ過ちを繰り返さないために、医療機関、NPOなど多くの方達とのネットワークを、もっと大きく、強くしていきたいと考えています。
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by kahajime | 2016-02-06 12:44 | 刑事裁判