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民主と自・公との「修正協議」で、「総合こども園」は撤回するとのことでした。

もともと、「新システム」では、当初の予定と異なり、私学助成を受ける幼稚園がそのまま残る道ができたため、「総合こども園」は、保育園の看板を変えることで賄う予定でした。報道でも「2万カ所の幼保一体型施設ができる」と言っていましたが、今保育園は2万カ所あるので、ただ、保育園の看板を「総合こども園」に変えるだけ、というお粗末な「過大広告(ほとんど虚偽広告)」でした。

しかも、「総合こども園」には3歳未満児の受け入れ義務がないとなっていました。

そのため、「総合子ども園」ができても、本質的な「幼保一体化」は実現せず、しかも待機児童解消にもならないと厳しく批判されていました。

ですから、「総合こども園」の撤回は当然です。

しかし、「子ども子育て新システム」の核心は、「総合こども園」ではありません。

保育園への補助金をストップし、親への「給付」(手当)の形に変えてしまう、という点が、新システムの本質です。

この点がどうなるのか、3党合意では、はっきりわからない。

文書を読むと、「給付」へ一本化するとしています。ですから、現金給付にしようとしていると読める。

しかし、24条の自治体の保育実施責任は維持するように言ってみたり、今の私立保育園への委託も維持するように言っています。

論理的に整合が取れるのか、疑問です。

しかし、とにかく、官僚がやり遂げたいのは、「給付」制度への移行です。
「給付額」は法律ができても、具体的に決めませんから、いつでも下げていくことが可能になります。

「子育てにたくさんのお金を出す」と言いながら、数年後には大幅な支出抑制をし、その結果保育園がつぶれていく危険があります。
また、「保育」の質が変質し、社会福祉法人でも、内部留保が増え、また、詰め込み保育が増える危険があります。子どもの安全が犠牲になりかねません。

事業者がたくさんつぶれていく事態は、現に、介護保険の分野で起こっていることです。このことは拙著「子どもと保育が消えてゆく」でも書かせていただいています。

だから、僕は新システムに反対なのです。
そして、いつでも「財政抑制」が可能、だから、官僚は「現金給付」にこだわるのです。

今回、「総合こども園」をあっさり棄てたのは官僚です。
ここが獲得目標ではなかったからです。

しかし、「現金給付」だけは残したいと、先週、自公の議員にかなり説得していたようです。
3党合意も、結局官僚が描いたストーリーに乗っているだけではないかと思います。

しかし、とにかく、24条の改正をさせない。
認定保育園の枠の中に、現金給付を押し込む。
既存の保育園を財政的に支え、拡充する方向については、現行制度を壊さない。

ここをまず押さえされることが大事です。

なお、まだ、新システムの賛否を、企業参入の議論と混同している人が少なくないと思います。このことは、新システムが理解しにくいのだということを物語っています。

僕は、「新システム」をほとんどの人が正しく理解できていない、そんな状況の下で、「法律を読めて作れる官僚」が描いた法案がすーっと通っていくことが、とても問題だと思います。

国民がよく分からないまま、そして、3党合意でますます分からなくなったまま、「現金給付」に変えるという「新システム」の核心だけは実現されようとしている。

「総合こども園」が撤回されたから良かった、と手綱を緩めてはいけません。
日本の官僚は、きわめて優秀で、したたかです。

獲得したい、「現金給付」制度の獲得に全力を挙げています。

先週は、永田町に行って、何人か議員や秘書の方にお会いしてきました。
民主党の細川律夫さんなど、本当は、新システムの問題をよく分かっているはずです。
自民の田村さん、公明の高木さんもよく分かっているはずです。
こういった方達が、官僚に押し込まれないよう、最後まで支援していかないといけないと思います。

3党合意が急いで作られた以上、矛盾はかなりあります。

そして、大きな修正になっていることは間違いありません。

ですから、矛盾なく法律を作り替えるには、相応の時間が必要です。

法律の審議をする法律がない以上、ただ、「提出した法律をこう修正します」というだけで、法律の可決をすることは許されません。

いったんすべてを取り下げ、提出し直すべきです。

保育園を守りたい、子どもたちの安全な成長を守りたい、と願う、全国のお父さん、お母さん、保育士さんの声が、最後は国政を動かします。

最後まで、たとえば、「ちひろリーフ」を広げ、また、地元議員に送るとか、修正協議担当の議員や保育政策のキーになる各党の議員の地元の事務所に要請に行ったり、ファックスなどで支援をしたり、ということを、全力でやり遂げましょう。

押し返しているのは間違いないのです。

あと一歩。

頑張りましょう。

子どもたちのために。
# by kahajime | 2012-06-18 01:08 | 保育
ちひろリーフが好評です。

5月14日に配り始めて、わずか1週間で、90000枚、全国に注文・発送致しました。

印刷した10万枚がなくなりそうです。予想外の速さと反響に驚いています。
全国の保育園や、お父さんお母さんから問い合わせいただいています。

子ども子育て新システムの問題がマスコミでも取り上げられるようになってきていますが、より多くの方に知っていただくツールとして、大いに活用いただいています。

当初、20枚、とか小口もあったのですが、発想の手間や、周りに広げていただくという趣旨から、100枚単位で注文いただくことにしました。

また、一枚いくら、という形で売っているわけではありませんが、実費相当分として、一枚10円を目安にカンパをお願いしています。100枚であれば、1000円をお願いしています。

是非、ちひろリーフをご活用下さい。

http://www.kodomo-hoiku.jp/order_form.html
# by kahajime | 2012-05-27 23:55 | 保育
昨日5月19日、名古屋市中区役所ホールにて、評論家の宮崎哲弥さんを招いての憲法企画が、愛知県弁護士会主催で行われました。

500人の会場がほぼ満席で、若干の立ち見も出てしまいました。立ち見になってしまった方、申し訳ありませんでした。

前半が、宮崎さんのお話で、僕が聞き手を務め、その後、本さん(名大教授)のミニコンサート(?)があり、後半、宮崎さんと本さんのお二人のお話を、僕が司会として議論を進めさせさせていただきました。

宮崎さんから、マスコミ取材禁止、ということで硬く言われていたので、このブログでも、あまり詳しくお伝えできませんが、予想以上にかなり良かったと思います。

宮崎さんは、憲法とは国民から国に対する命令書なんだ、権力を縛るものなんだ、という原則を丁寧に話されました。

憲法を護るとか変えるとかの前に、まず、憲法とは何か、日本国憲法に何が書かれているかをしっかり理解しよう、9条だって何を変えようとしているのか、あるいは守ろうとしているのかすら、分かっていない人ばかりじゃないか、ちゃんと憲法を知って議論していこう、という、とても大事な提起をしていただきました。

宮崎さんと本さんとの対談も、時間の関係で掘り下げが不十分でしたが、議論が対立する点も含めて大変良かったと思っています。

実は、弁護士会には、「弁護士会が改憲論者の宮崎さんを呼ぶとは何事だ!」という電話が事前にかなり入ったようです。
しかし、参加いただいた皆さんからは、「とても良かった」という声をたくさんいただき、ほっとしております。

憲法の議論をするにあたって、例えば「護憲」論者ばかりを集めて、「そうだそうだ」と4畳半の議論をしていてはいけないと思っています。

その意味で、他流試合は大事だと思って、この企画に賛成した部分がありますが、宮崎さんが憲法についての理解を正しくされた上で議論をされたので、かみ合うところはしっかりかみ合い、かなり実りのある会になったと思っています。

僕の立ち回りは、ホスト役として出しゃばりすぎず、宮崎さんに気持ちよく話していただきながら、しかし、こちらが話していただきたいポイントは落とさず進めていく、という大変難しい役回りでした。

最初、対談相手と司会の依頼があったとき、何とか断ろうと思ったのですが、「他に適任がいない」(そんなこと全然ないと思いますが)と押し切られ、引き受けてしまいましたが、始まるまで、どうなっていくのか読めない部分がありすぎて、とても不安でした。

「あそこでああ聞けば良かった」と後悔する点もあります。

しかし、全体的には、宮崎さんと本さんが大変しっかりした議論を分かりやすくしていただいたおかげで、何とかうまくいったと思います。

わかりにくいまま終わってしまった点などは、全て司会の私の責任です。

至らなかった点は、何卒ご容赦いただきたいと思います。
# by kahajime | 2012-05-21 00:27 | 憲法
新システムの問題について議論している際に、賛成している方も、反対している方も、企業参入の話と混同して議論されている方が少なくありません。

しかし、企業参入の話と、新システムの話とは別次元です。

僕のブックレット「子どもと保育が消えてゆく」の38頁で次のように書かせていただきました。

「現在、介護保険の分野で、社会福祉法人の内部留保が問題となっています。人件費など、使い道が定まっている施設への「補助金」と異なり、利用者からの利用料という形になると、お金の使い道は施設の自由です。ですから、社会福祉法人がお金を貯め込むということも生じてしまいます。

これは保育でも同じです。新システムになり、施設への「補助金」から、親からの保育料+こども園給付へと変われば、使途に制限がありませんから、企業はコスト削減をして儲けようとしますし、社会福祉法人の中にも、コストを削減して内部留保をしたり、園長や理事への配当を高くするような法人がでてくることは十分考えられます。

他方で、手厚く保育をしていこうという保育園は、そのままでは保育園を維持できないでしょう。」

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新システムの問題は、単純に「社会福祉法人は良くて企業はダメ」などということではなくて、社会福祉法人そのものが変質し、保育の質が低下していく危険性があるという点にあると思っています。

新システムは、介護保険制度を参考にしているのですから、社会福祉法人の内部留保と労働条件の悪化、という、介護保険の分野で起こっている問題が、保育の分野でも起こることは必至です。

社会福祉法人の内部留保を拡大してしまうことがあれば、それこそ、「既得権保護」そのものではないでしょうか。

新システム推進の人は、新システム反対の人間を「既得権者」と批判します。

しかし、僕は、新システムで、ますます一部の社会福祉法人の利権を拡大し、むしろ「既得権が肥大化」していくことを心配しています。

現時点で、すでに複数の保育団体が新システムに賛成していることからすれば、「既得権の肥大化」という事態が起こるという懸念は、あながち間違いではないのではないでしょうか。

新システムになり、社会福祉法人が変質し、保育の質が低下する中で、社会福祉法人の保育園での保育事故が増えるのではないかと大変心配しています。
# by kahajime | 2012-05-16 01:10 | 保育
一審で無罪となった小沢氏の事件について、検察役の弁護士が控訴をしました。

明らかな事実誤認がある、ということが理由のようですが、他方で、主張した事実はほとんど認められたのに、無罪となってしまったなどとも言っています。
そして、一部マスコミも「灰色無罪」というような表現を使うなどしていました。

しかし、事実認定を積み重ねることと、最終的にそれが法的にどう評価されるかは別です。

検察側の主張立証した事実が仮に認められたとしても、その事実を前提に、法的評価としてはやはり、故意や共謀を認めるまでには至らなかった、ということであれば、それは立派な無罪判決です。

「灰色無罪」などと安易に評価すべきではありません。

「灰色有罪」、つまり「疑わしきは罰す」というイメージを広げることが、さらに冤罪を産み出す温床を作っていくことになる、ということを、もうすこし自覚していただきたいものです。

今回のマスコミの報道には、かなりの疑問を感じざるを得ません。

そもそも、99.9%有罪というのが日本の刑事裁判の現実です。

建前として無罪推定とは言いますが、現実には法廷の中では強固な有罪推定が働いているのです。

そんな中で、被告人の弁護士は、0.1%の無罪判決を勝ち取るために、徹底的にぎちぎちやって、最終的に「ぎりぎりの所での無罪判決」を、何とか必死にもぎ取るのです。

検察側から見れば、99.9%有罪の中で、しかも、裁判所も検察側の主張に基づく事実認定を一定するのは当然ですから、無罪判決が出たときに「おしい」と感じ、判決が「おかしい」と感じてしまうのでしょう。

しかし、「99.9%有罪」の世界で生み出された無罪判決は、総じて「ぎりぎりの無罪」です。

逆に言えば、原則通りに有罪にしたくとも、裁判所にはできなかった、ということなのです。

だからこそ、その無罪判決に重みがあり、その判断は、特に無罪推定の原則から、最大限尊重されなければならないと思います。

また、刑事事件の控訴審は事後審ですから、新たな証拠を出すことは原則として認められません。

その中で、原審の無罪判決を、論理の点で論破できる確証がない限り、控訴は断念すべきです。

今回の控訴については、幾重にも、疑問が残ります。
# by kahajime | 2012-05-12 00:57 | 刑事裁判